Out in the pasture under Phew tree
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2026/03/15
”それでいいんじゃないかしら”
(本文より)
こんにちは。
今日のお手紙には、犬やねこを静かに抱っこしているときに感じる小さな鼓動のような、そういった温かさをもつ本について書こうと思います。
作者のヨシタケシンスケさんが紹介してくださるのはかわいいふたりの姉弟、お姉さんのメメンと弟のモリです。
ふたりが出くわす日常の片隅から「人生って…」について考える様子を、のぞかせてもらうことができます。
「こうなんだと思い込むこと」
何かをきっかけに「こわい」「不安」の暗雲が立ち込めると、ひとつの見方や考え方に固執しがちなわたしです。
「他の可能性もあるよ」と、なるべく思い出すように心がけていますが、落ち着いていることが難しいときにはつい、そのたったひとつに向かって駆け出してしまうことがあります。
暗雲を散らしたい一心で先へ先へと突き進んでいると、不意に頭のてっぺんからマグマが噴火し、どろどろのきもちが溶岩のごとく額から頬をつたって流れていく…そんなきぶんに襲われます。
ようやくそこで、わたしは自分を深く窮屈なところへと追い詰めていたことにきがつくのです。
しおしおとするわたしは、メメンとモリを思い浮かべます。
こわいと感じること、不安に思うことはふたりにもあるはずなのですが、まるでやわらかな日差しのもと、見晴らしのいい丘の上に座っているかのように朗らかな話し声は、どこか赤ちゃん用木製ミニピアノの音色を思わせます。
「わたしが生きているこの心臓のトク、トクという音は、きっとどこまでも広い」
ふたりのおしゃべりに耳を傾けていると、そんな思いが一雫、しずかに落ちてくるのを感じます。
少しずつげんきが戻ってきたら、わたしもふたりと一緒にながめてみます。
しゃがんでじっと、アリの巣を観ているようなその時間が、わたしはすきです。
メメンのようなお姉さんがいるモリはいいなぁ。
メメンのようなお姉さんになれたらな。
いつもそう思います。
Kokage
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【メメンとモリ】
ヨシタケシンスケ
発行◎株式会社KADOKAWA
ISBN978-4-04-113395-8